渋谷で働く人事のブログ

渋谷区の一部上場企業で、新卒採用を担当しています。年間1,000名以上の就活生と会う中で感じることや、日々の考えをシェアします。

声に出すことの大切さ

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

経団連加盟企業の選考が(オフィシャルに)解禁となった6/1から、3週間が経ちましたね。

良くも悪くも、多くの方に第一志望企業の選考結果が届いている頃ではないでしょうか。


ESや適性検査は通過しても、面接をなかなか通過できないという方。

ひょっとしたら、力を入れるポイントがズレているのかも知れませんよ。

面接に対するカンチガイの数々

「面接では、達成した実績のインパクトが最も重要だ」

「面接では、他の候補者と内容で差別化することが大切だ」

「面接では、とっさの上手い切り返しが不可欠だ」

どれも間違いとは言いませんが、決して本筋ではありません。これに捉われてすぎるのはキケンです。


もちろん内容を練ることは大切ですし、避けて通ることはできませんが、「どう話すか」も同じくらい大切。

面接においてもっとも避けるべきは「憶えてきたことを話している」と思われること。

実際には憶えて話すことには違いないのですが、それをいかに自然に見せられるかがキモになってきます。


本当に大事なこと

面接官は、候補者とのコミュニケーションを楽しみたいと考えています。

決められたことを確認するだけの無味乾燥な面接ではなく、相手がどういう人間なのかを知り、できれば自分というフィルターを通じて自社のことについてもイメージを膨らませてもらいたい。

そして相互の理解を深め、結果として相性を見極めたいというのが、面接官のホンネです。面接は目的ではなく手段なのですね。

ガチガチに作り込まれた「志望動機」や「自己PR」を聞いても「よく頑張って憶えたな」「上手に話せたな」以上の感想を抱くことはありません。


もちろん、面接という緊張を伴う場で、リラックスした自然体のコミュニケーションを取ることは難しいでしょう。

では、具体的にどのような準備をすれば良いのでしょうか?

有効なトレーニング方法

おそらく多くの方は、志望動機や自己PRを考えるときは「文章で」作成することでしょう。

文語と口語は得てして異なるので、作られた原稿には必ず話し慣れない表現や言い回しが含まれています。

スピーチとして読み上げるならまだしも、面接の場では「あなたらしい」「使い慣れた」言葉が最良です。

そこで有効になってくるのが、「実際に相手がいるつもりで話してみる」「それを(スマホなどで)録画する」「自分で見返し、不自然な点がないかチェックする」というトレーニング法です。


自分が話している姿を客観的に見る機会というのはあまりありません。

いざ見てみると、イメージしていた姿とのギャップにガクゼンとすることでしょう。

でも、その恥ずかしさを乗り越え、不自然な点をひとつずつ潰していくことで、あなたの面接スキルは飛躍的に向上します。


ちなみに録音よりも録画の方が断然効果的ですので、ビデオにとることを強くオススメします。

撮る⇒見直す⇒撮る⇒見直す⇒撮る…を、納得がいくまで繰り返してみてください。

最低でも10回くらいやってみると、明らかに違いが実感できるはずです。

おわりに

面接は、話す内容も大切ですが、「どう話すか」も同じくらい(時にはそれ以上に)大切です。

話し方を向上させるには、声に出す機会を増やすしかありません。

だまされたと思って、試してみてください!

こんな面接官はダメだ! NG面接官の特徴3選

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

就職面接で高圧的な態度を取ったり、失礼な言葉を投げつけたりする面接官の話を耳にすることがあります。

面接官の印象は企業の印象です。

些細な言葉で嫌われてしまったり、会社のイメージを損なってしまったりすることがあるので注意が必要です。

どういった言動や行動が学生から嫌われるのか、実際に学生から聞いたエピソードを交えながらご紹介させていただきます。


態度が悪い

面接で一番注意してほしいのが態度です。

就活生を相手に、平気で横柄な態度や高圧的な口調で話している人は、かなり悪い印象を与えます。

中には、あからさまに「私は君たちを選ぶ立場」というオーラを放ちながら面接をする人もいるそうです。

面接を受けに来た段階では他人のはずなのに、非常識な対応しているようでは企業としての品格が疑われます。

商材やサービスによっては、就活生がお客様のこともありますよね。

悪い口コミが広がってしまう可能性もあります。


また、淡々と質問をするだけの面接や一切笑顔を見せない面接官は(本人にそのつもりがなくとも)圧迫面接という印象を持たれてしまいます。

少なくとも学生には良い印象を与えません。

笑顔で相手を迎えることを意識してほしいと思います。

競合他社の悪口

他社の悪口をいう面接官がいるそうです。

おそらく競合他社との差別ポイントを聞かれたり、説明したりする際に出てしまうのではないかと思いますが、悪口は絶対NG。

気をつけてほしいのが「○○(競合他社名)の弱みは××」と回答しても、人によっては悪口に聞こえてしまうことです。

他社の弱みではなく、自社の強みをアピールすることを心掛けましょう。


以前、ある大手企業の面接官が「○○(競合他社名)の倒し方を知っている」という話をしたとネットを中心に話題になりました。

真偽は不明ですが、悪い噂はすぐに広まってしまう傾向にあります。

具体的な会社名を出す場合は、それこそ細心の注意を払う必要があります。

面接官が遅刻

ある学生は会議室で30分待たされたことがあるそうです。

特に悪い印象として「遅れたのに謝罪の言葉がなかった」ことを挙げていました。

次の予定で別企業の選考が控えている学生もいます。

お詫びの気持ちを伝えるとともに配慮をしてあげるべきです。


よくあるのが、終日面接を設定し、次から次へと対応する場合。

後半になるにつれて、開始時間がズレてきてしまうことがままあります。

こうなってしまった場合、就活生を座らせたままずっと待たせてしまうのは絶対NG。

同じ待ち時間でも「あと○○分くらいです」「次の予定は大丈夫ですか?」と声をかけるだけで、待っている立場の気持ちが和らぎます。

まとめ

面接では学生だけでなく、面接官側も緊張してしまうことがあります。

慣れていない方は、なおさらでしょう。

しかし、面接のちょっとした言動や対応で悪い印象を持たれてしまうことがあります。

もしも現場のスタッフに初めて新卒採用の面接を依頼する場合は、予め入念な打ち合わせを行いましょう。


好印象を持ってもらえると内定辞退の防止にもつながり、入社の決め手になることもあります。

大げさに感じるかもしれませんが、面接官の印象はそれほど影響を与えます。

リラックスして会話できる雰囲気を心がけましょう!

【出張グルメ】真助(仙台)

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

採用シーズン真っ只中、全国を飛び回る毎日。

出張続きは疲労もたまりますが、どこにいっても食事が美味しいのは日本の良いところ。

全国各地の名店から、お気に入りをご紹介します。


真助(仙台・牛タン)

仙台駅よりほど近い、飲み屋横丁。その奥に「真助」はあります。


知らなければなかなか立ち入らないであろうこんな横丁の奥に…

お店の概観

2階に通じる階段が。


こちらを上がると…


看板がお出迎え。


店内はカウンターが5席ほど、奥に小上がりという造りです。

料理

オリックス時代のイチロー選手も通ったという「真助」の牛たん焼き定食が、こちら。


厚みがあるのに柔らかく、箸が止まりません。

おわりに

牛たんは「利休」や「伊達の牛たん」が有名ですが、個人的にはこんなお店が好きだったりします。

面接で成功体験を聞く理由

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

採用面接で「学生時代に最も頑張ったこと(力を入れたこと、成功したこと)は何ですか?」という定番の質問があります。

成功体験を通じて学生の行動力や性格を確かめたいという意図の質問ですが、何と答えるのが適切なのでしょうか?


必要なのは「インパクト」ではない

たとえばここにAさんとBさんという二人の学生がいたとして、2人とも学生時代に「自転車で日本一周旅行をした」経験があるとしましょう。

Aさんは思いついたらすぐ行動。ノリだけで、日本一周をしてしまいました。

Bさんは旅行前に周到な準備をし、毎日のスケジュールを決め、宿泊するホテルをすべて予約し、その土地の美味しい食堂を携帯で写真撮影していたとしましょう。

面接において評価されるのはどちらだと思いますか?


この質問において面接官が見ているのは「その成功体験に再現性があるか」。

つまり「いつ、どこで、何度やっても、同じ手順で行えば同じ結果が得られるか」です。

Aさんの行動に再現性はありません(行動力、突破力はありますが)。

一方、Bさんの行動には再現性があります。Bさんに仕事を任せたら、周到な準備をして臨んでくれるでしょう。

このように、面接官は取り組みの結果よりも「どうやって達成したのか」に注意して話を聞いています。

失敗体験でも構わない

定番の質問ですので皆さん事前によく準備していますが、残念ながら方向性が間違っていると感じることも多々あります。

バックパッカーとして数ヶ国を放浪しました」「○○の大会で優勝しました」「ビジネスコンテストで表彰されました」といった成果には確かにインパクトはありますが、面接においては「結果のすごさ」が評価に直結するわけではありません。


私たち面接官は、就活生が語る成功方程式を通して、他の場面でも成功につなげることができるのか?を見ています。

従って、(どれだけ結果にインパクトがあったとしても)勢いだけでやってしまった成功体験には再現性がないため、あまり意味がありません。

逆にインパクトがなくても、「再現性のある成功方程式」があれば、評価の対象になりえます。

極論すれば、再現性さえあれば失敗体験でも構わないと思います。

どう備えるか

それでは「学生時代に頑張ったこと」を通じて、何をアピールすればよいのでしょうか。

面接官は主に下記のような切り口で質問を深堀りしますので、こういった視点で準備をしてみてください。

  • 契機(なぜそれをしようと思ったのか)
  • 目標(ゴールはなんだったのか)
  • 挑戦(まず何から始めたか)
  • 継続(どんな努力を継続したか)
  • 挫折(挫けそうになったことはあるか、どう乗り越えたか)
  • 協力(周囲から協力してもらった部分はあるか、どう働きかけたか)
  • 突破(目標達成のためにどんな差別化をしたか、どのポイントを強化したか)
  • 成功(どのように達成したか、その瞬間の気持ちはどうだったか)
  • 成長(その経験によって何を学んだか、どこが成長したか)
  • 再現(その経験を社会に出たらどう活かせるか)


逆に言うと、これらに明確な回答ができない場合、面接における価値は低いということになります。

努力そのものを否定する気は毛頭ありませんが、面接では別のトピックを取り上げることをオススメします。

まとめ

面接では緊張もあるので、うまく話せるとは限りません。

面接官はなるべく学生をリラックスさせ、魅力を引き出してあげようと努力をしています。

皆さんも、質問を額面どおりとらえるだけでなく「この質問を通じて何を知ろうとしているのか?」を考えてみてくださいね。

「話しかけない店員」と採用スタンスの話

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

先日、こんな記事を読みました。

「話しかけない店員」が増えているそうだ。それでいいと思う。


示唆に富んだコラムですが、この記事については特に新卒採用にも通じるところが多いと感じます。

(以下、引用はすべて上記コラムより)


接客が変わりつつある

昔はアパレル店に入ると面倒くさいほどに店員に声をかけられていたが、最近はその営業スタイルに変化が出ている。要は「ムダに話しかけてこない」のだ。これはハッキリ言って…

かなり賛成だ。

そもそも、洋服店に入った段階で、客は3層に分かれる。
1. 何が何でも洋服を買おうと思っている層。これは…ほっといても服を買う。
2. そして、迷っている層。
3. 最後にただのウィンドウショッピング。

恐らくだが、昔のアパレルではこの「2」を何が何でも獲得せよ!という指令が飛んでいたのだろうと思う。なので、のんびり一人で見たいだけの方々にも、ベッタリと横に張り付いて色々と話しかけていたのだろうと思う。

確かに、思い当たるフシが多々あります。話しかけられたくないときはイヤホンをして聞こえないフリとかしてました。

しかしここ1年くらいのショッピング体験を思い出すと、店員から能動的に声をかけられた記憶がほとんどありません。

これは店としての方針が変わったと考えるべきでしょうが、ではなぜ変わったのでしょうか?

変化の理由

単純にふらっと入っただけの気軽な感じのお店の場合、ほとんどの客は「出来ればほっといてもらいたい」のが心情。言うまでもないことだ。実はこのゾーン3が客層では圧倒的に多いはずだ。

分からないことや知りたいことがあるなら、そもそも「自分から聞く」。

それをしていない段階で、普通のゾーン3に入る客は「ほっといて欲しい」のであるが、そこに営業全開の店員がべた付きしてくる。

出るわな。店を。だって、ほっといてほしいので。

そして、そのゾーン3の客はもう2度とそのお店には立ち入らなくなるだろう。面倒くさいので。ネットなどで見てゾーン1にならない限り。

かつて(10年前くらいまで?)は、洋服を買おうと思えばショップに行くしかありませんでした。

つまり、お店側としては待っていても見込み客が飛び込んでくる状態。

あとは「いかに成約率を上げるか」だけ考えればよく、そのためには「積極的な接客スタイル」が有効だったということでしょう。

しかしネット通販がこれだけ普及すると、接客をうっとうしく感じる層はほぼ店にこなくなる。

試着だけして、同じものならネットで買う。持って帰る必要もないし。送料無料だし。となりますよね。


ショップが「モノを売る」だけの場ではなく「ショッピングという『体験』を売る」場へとシフトしたがゆえに、押し付けは機能しなくなったということ。

つまり「2」を取りこぼすリスクよりも、圧倒的多数である「3」の層への印象を重視して、方針を転換した。

これって合同説明会やセミナーなどにおけるアピールのスタンスにもつながると思いませんか?

採用パーソンとして

ゾーン2のお客は「商品が本当に魅力的であれば」ほっといても買ってくれるのだ。
問題なのは「大して魅力的でない商品」を買わせようとしてしまっている点なことに気付く必要がある。

実はこれはテレビでも同じことが言える。
つまらないテレビだと、ほっといても見てくれない。
でも短期的な視聴率を稼ごうとする。
こういう時に…

バカみたいに煽り、
バカみたいに引っ張り、
バカみたいなテンションでナレーションを入れるから

次にもう見てくれなくなるのだ。黙って読めるネットに流れる。これに気付ていないテレビマンが少なくない。

本来、テレビや情報番組は粛々としていればいい。
そうすれば「本当に見たいニュースがある時」にチャンネルを合わせてくれる。
そこで真面目にやっていれば結局「信頼」が出来る。
無理な煽り企画とかをするので、失敗してくる。

長谷川さんは元・テレビマンですのでテレビ番組と重ねていますが、我々採用パーソンにとっても他人事ではありません。

かつては、ある会社への入社を志す学生は合同説明会に行き、単独セミナーに参加し、適性検査を通過して面接へ…という選考ルートしかありませんでした。

しかしいまや、インターンシップもあればリファラル採用もあり、入社までの道は決して一本ではなくなっている。

だからこそ、自社のよさを声高にアピールするだけの「押し付けの説明」は、もはや通用しないと考えた方がよいでしょう。

CSRCSVが重視される昨今の採用トレンドとも大いに重なるものがありますね。

おわりに

長谷川さんは、上記コラムを「結局、地道に真面目にやるしかないのだろうな」と結んでいます。

目新しい選考や、派手な選考スタイルは目立つのでもてはやされることも多いですが、結局は相手を正しく理解しようと努め、自社のことを正しく理解してもらおうと努めること。

それがお互いのメリットが最大化されるベストなやり方だと思うのですが、いかがでしょうか?

ESでの足切りを防ぐ! 意識すべき4つのポイント

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

エントリーシート(ES)や履歴書を提出するとき、内容が最も大切なのはもちろんですが、そもそも「内容すら読む気にならないES」を提出していませんか?

採用選考におけるESや履歴書は、一定の水準以下を落とす足切りの選考だと思ってください。

今回は、ESや履歴書の内容を読む前に採用担当者がチェックしているポイントをお伝えします。


提出日

ESや履歴書を提出する上で、まず大切なのは「提出期限に間に合っているか」です。

当たり前と思われるかも知れませんが、さにあらず。

世の中には「○○日必着」の書類を「○○日に発送」するような方も少なくありません。


仕事をする上で、納期を守ることは基本中の基本です。

提出期限に間に合わない場合、即座に不合格になると思いましょう。

もし特別な事情でどうしても間に合わない場合は、必ず期限到来前にメールや電話で相談をしてください。

期限後の相談は、言い訳にしかなりませんよ。

用紙の状態

次に見ているのは「用紙がキレイか、使いまわしでないか」です。

用紙の状態からも、就活生がどれだけ自社に興味・熱意を持っているかが透けて見えます。

ノリがつけ足りなかったのか写真がはがれ落ちていたり、修正液が大量に使われていたりすることもあります。

シワクチャだったこともあれば、コーヒーのシミがついていたこともありました。


どんなに内容が素晴らしくても、シワクチャのESを読む気にはなれません。

逆に郵送の場合はクリアファイルにはさむなど、ひと手間かけてあると心象はアップします。

学校独自の書式がある場合は、市販のものではなくそちらを使いましょう。

文字の量

続いて「文字の量は適切か」がチェックされます。

手書きの場合、最低でもスペースの8割~9割は埋めるように心がけてください。

スカスカのESは、熱意を疑われます。


採用担当者は、文字量からも自社に対する興味の度合いを感じています。

規定の文字数をオーバーするのは論外ですが、少ないのもいけません。

規定の90%程度を目安としてください。

字の丁寧さ

そして、「字が丁寧か」も見ています。

字の丁寧さには性格も影響しますが、やはりその会社に対する本気度が現れるからです。


本気で受けている方、相手に敬意が払える方は、丁寧な字を書きます。

綺麗な文字である必要はありません。

字を丁寧に書いているかどうかは、伝わります。

丁寧に書いていないものは、どれだけ内容がよくても、印象は悪くなります。

ESがなかなか通過しないという方は、丁寧に書いているか見直してみてはいかがでしょうか。

おわりに

企業からすれば、手書きのESや履歴書は「就活生の本気度を把握するための情報源」でもあります。

内容を一朝一夕で上達させるのは困難ですが、上記を最低限クリアしておけば、面接での挽回チャンスにつながります。

まずはこれらのポイントを意識しながら、頑張ってくださいね。

企業研究の四要素 ③健全性

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

企業研究で必ずチェックしなくてはならないポイントは、大きく分けて4種類あります

そこで今日は、前々回前回に続き3つ目の要素である企業の「健全性」について考えてみましょう。


なぜ健全性が求められるか

これまでお伝えしてきたとおり、企業の目的は世の中への貢献であり、その結果が利益です。

利益を上げられない赤字企業が淘汰されるのは自明ですが、じつは黒字でも事業継続が困難になるケース(俗にいう「黒字倒産」)もあるため、売上・利益だけに注目するのは危険。

事業継続には、借金の多寡も含めた「財務の健全性」が求められるのです。

企業が倒産するのは赤字だからではありません。何年も赤字を出し続けていても、生き残っている企業はいくらでもあります。

しかし、いくら黒字の企業でも資金繰りが悪ければ倒産してしまいます。つまり、利益を出した金額ではなく「現時点で手元にお金がどれだけ残っているか」が倒産するかどうかの分かれ目となります。

なぜ黒字倒産が起こるのかより


また、利益や顧客からの評価ばかりを優先して、社員満足度を後回しにするのも本末転倒。

仕事は充実した人生を送るための手段であって、人生の目的ではないはず。

だからこそ、福利厚生や休暇・休日、またCSRへの取り組みといった「体質の健全性」も、充分に検討をする必要があります。

ジツは企業研究に最適!CSRレポートの正しい使い方 - 渋谷で働く人事のブログ

重点チェック項目

手始めに、下記の3つを色々な会社で比較してみてはいかがでしょうか。


当座比率

せっかく入社した会社がすぐに倒産してしまったら、たまりません。

財務三表といわれるBS(貸借対照表)/PL(損益計算書)/CF(キャッシュフロー計算書)を読み解くことで「短期的な倒産リスク」を推測できます。

このでは、財務の堅実さをはかる代表的な指標である「当座比率」について、簡単にご紹介します。


賃借対照表には当座資産(※1)と流動負債(※2)という項目があり、この「流動負債に対する当座資産の比率」を「当座比率」と言います。

※1 当座資産…1年以内に現金化が可能な資産を流動資産といい、その中でも特に換金性の高い現金・預金、受取手形売掛金、有価証券など

※2 流動負債…1年以内に支払期限の到来する返済義務。銀行からの借入金短期借入金など

※3 当座比率(%)…当座資産 ÷ 流動負債 × 100


一般的に、流動負債(近々返済義務のある借金)よりも現金(あるいはそれに近い資産)を多く持っていれば倒産の危険性は低いといえますので、当座比率が高いほど財務的に健全ということになりますね。

逆に流動負債が当座資産を上回っている場合や、近い数値になっている場合は、借金が返せず倒産してしまう危険性が高いことを意味します。


ちなみに当座比率の許容範囲は業界によってもやや異なるので、同一業界の中で比較をすると分かりやすいです。

企業研究にIR情報が必須なワケ - 渋谷で働く人事のブログ


②3年後離職率

3年後離職率とは、新入社員のうち入社3年以内に離職した人の割合を示したものです。

主要企業の3年後離職率は『就職四季報』に掲載されていますが、これは組織運営を推察するうえで大切な指標になります。

参考までに、全体の平均は30%程度ですが、0%や10%未満の企業もある一方で、40%を超える割合を開示している企業もあります。

なお、3年後離職率が「NA」(No Answer;回答拒否)の企業も多く存在をしていますが、この場合は「なぜ非開示なのか」を考えましょう。

情報開示に積極的でないか、高すぎる数値のため出すことを控えているのか…いずれにせよ、要注意です。

就職四季報を活用する!注目すべき3つのポイント - 渋谷で働く人事のブログ


また、あわせてチェックしていただきたいのがオフィスの雰囲気。

将来性の乏しい会社、従業員を大切にしていない会社のオフィスは、どこか負のオーラが漂っています。

反対に、成長している企業、1人ひとりがやりがいを感じながら働いている組織では、オフィスの雰囲気も明るく感じられるもの。

面接やOB訪問などで会社を訪れるときは、社員が活き活きと働いているか、雰囲気に不自然な点はないか、チェックしてみてくださいね。


育児休業期間

出産と同時に女性が退職し専業主婦となるのも今は昔。

現代では、育児休業を取得し子が一定の年齢になったら職場復帰がスタンダードですが、そこで気になるのが育児休業の期間。

ここが手厚い企業は女性の育成に積極的であり、長く働きやすい環境が整っていると推測できます。


国の定める最低期間は1年間ですが、中には育休を2年・3年取得できる企業もあります。

働きながら子育てをしたいワーママ・イクメンにとって、企業のバックアップが手厚いことは大きな魅力。

特に都市部では保育園を見つけるのもひと苦労ですので、余裕を持って育児に向き合えるというのはありがたいですよね。

また育休取得経験者と話をする機会があれば、復帰はスムーズか、まわりの雰囲気など、数字に表れない部分も聞いてみてください。

おわりに

これらの情報が「企業の全て」をあらわすわけではありませんが、判断する上で非常に重要な情報です。

また、こういった深い情報を持っていることは選考においても必ず有利に働きますし、企業への興味も示せます。

ぜひ取り組んでみてくださいね!