渋谷で働く人事のブログ

渋谷区の一部上場企業で、新卒採用を担当しています。年間1,000名以上の就活生と会う中で感じることや、日々の考えをシェアします。

学歴フィルターは存在するのか?

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

皆さんは「学歴フィルター」という言葉を聞いたことはありますか?耳にしたことがあっても、その実態は一般的になかなか知られるところではありません。まあ「弊社は学歴フィルターを使用しています!」と公言する企業はないので当然ですが…。

今日は都市伝説として語られることの多い「学歴フィルター」の実態について、採用活動に携わる立場からお伝えをします。

学歴フィルターとは

2000年代以降、ナビサイトの隆盛により人気企業や大手企業にはそれまで以上に大量の応募が集中するようになりました。年間数万件のエントリーがある企業も珍しくなく、採用担当者はESに目を通すだけでもかなりの労力を必要とします。この結果、限られた期間の中で全員に選考を実施するのは困難(あるいは割りに合わない)と考えた一部の企業が、選考対象をフィルタリングする一手段として「学歴(大学名)」を使用するようになりました。これが世に言う「学歴フィルター」です。

A君はメールが届いてすぐに参加受付画面にアクセスしても「満席」となっているのに対して、別の大学に通うB君は翌日になってアクセスしたにも関わらず、楽々申し込みができたということが起こっている。それは、その企業にとって、A君の大学は「学歴フィルター外」、B君の大学は「学歴フィルター内」の大学だったことを表す。
東洋経済オンライン 水面下で広がる就活「学歴フィルター」の実態より)

このように、合否だけでなくそもそも「選考に参加できるかどうか」の段階でフィルタリングされる例もあるのですね。

学歴フィルターのメリット、デメリット

企業は、長年にわたる採用活動の中で「どこの大学の学生は選考通過率が高いか」「どこの大学出身者が活躍するか」などのデータを蓄積しており、自社に合う学生が多くいる大学を(体感も含めて)概ね把握しています。それらを活用すれば活動効率は上がり、結果的に成果の向上が期待できます。

もちろん、学歴フィルターを使用することによって「フィルター外」の大学に存在する人材の見落としにつながる可能性や、社員の出身校に偏りが生じることで学閥化や社風への影響が懸念されるというマイナス材料もあります。

とはいえ、採用担当者の多くは「採用目標数をクリアできたか」「そのうちターゲット校は何人か」といった指標で評価されることが多いため、デメリットをデメリットと感じていないケースもあります。

結局のところ、どうなのか

学歴フィルターには、確かにデメリットもあります。しかし、企業によってはそれを補って余りあるメリットが存在するため、取り入れる会社が後を絶たないのも事実です。また、システム上で厳然としたフィルターを設けている企業もあれば、無意識の中でフィルタリングしている企業もあるといったように、程度の差も存在します(大学内で行われる合同説明会などに参加するのは「その大学の学生をターゲットにしていますよ」と公言しているようなものですよね)。

また、人間には経験や知識からくる心理的バイアスというものがあります。「この大学の学生だからきっとこうだろう」「さすが○○大学だな」といった「偏見」も含めれば、まったく学歴の影響を受けない活動は残念ながら困難です。ちなみに学生側の実感としては、いわゆる「上位校」の学生ほど学歴フィルターを実感する機会は多いというデータもあるようです。

おわりに

表面化していないだけで、多くの大手企業・人気企業が学歴フィルターを取り入れています。しかし、そんな企業ばかりでもありません。一概には言えませんが、事前の書類提出を義務づけていない会社は、実際に会って評価しようとする傾向にある気がします。自分自身の魅力を見出そうとしてくれる企業に、出会えるとよいですね。