こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。
企業研究で必ずチェックしなくてはならないポイントは、大きく分けて4種類あります。
そこで今日は、前々回・前回に続き3つ目の要素である企業の「健全性」について考えてみましょう。
なぜ健全性が求められるか
これまでお伝えしてきたとおり、企業の目的は世の中への貢献であり、その結果が利益です。
利益を上げられない赤字企業が淘汰されるのは自明ですが、じつは黒字でも事業継続が困難になるケース(俗にいう「黒字倒産」)もあるため、売上・利益だけに注目するのは危険。
事業継続には、借金の多寡も含めた「財務の健全性」が求められるのです。
企業が倒産するのは赤字だからではありません。何年も赤字を出し続けていても、生き残っている企業はいくらでもあります。
しかし、いくら黒字の企業でも資金繰りが悪ければ倒産してしまいます。つまり、利益を出した金額ではなく「現時点で手元にお金がどれだけ残っているか」が倒産するかどうかの分かれ目となります。
また、利益や顧客からの評価ばかりを優先して、社員満足度を後回しにするのも本末転倒。
仕事は充実した人生を送るための手段であって、人生の目的ではないはず。
だからこそ、福利厚生や休暇・休日、またCSRへの取り組みといった「体質の健全性」も、充分に検討をする必要があります。
重点チェック項目
手始めに、下記の3つを色々な会社で比較してみてはいかがでしょうか。
①当座比率
せっかく入社した会社がすぐに倒産してしまったら、たまりません。
財務三表といわれるBS(貸借対照表)/PL(損益計算書)/CF(キャッシュフロー計算書)を読み解くことで「短期的な倒産リスク」を推測できます。
このでは、財務の堅実さをはかる代表的な指標である「当座比率」について、簡単にご紹介します。
賃借対照表には当座資産(※1)と流動負債(※2)という項目があり、この「流動負債に対する当座資産の比率」を「当座比率」と言います。
※1 当座資産…1年以内に現金化が可能な資産を流動資産といい、その中でも特に換金性の高い現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券など
※2 流動負債…1年以内に支払期限の到来する返済義務。銀行からの借入金短期借入金など
一般的に、流動負債(近々返済義務のある借金)よりも現金(あるいはそれに近い資産)を多く持っていれば倒産の危険性は低いといえますので、当座比率が高いほど財務的に健全ということになりますね。
逆に流動負債が当座資産を上回っている場合や、近い数値になっている場合は、借金が返せず倒産してしまう危険性が高いことを意味します。
ちなみに当座比率の許容範囲は業界によってもやや異なるので、同一業界の中で比較をすると分かりやすいです。
②3年後離職率
3年後離職率とは、新入社員のうち入社3年以内に離職した人の割合を示したものです。
主要企業の3年後離職率は『就職四季報』に掲載されていますが、これは組織運営を推察するうえで大切な指標になります。
参考までに、全体の平均は30%程度ですが、0%や10%未満の企業もある一方で、40%を超える割合を開示している企業もあります。
なお、3年後離職率が「NA」(No Answer;回答拒否)の企業も多く存在をしていますが、この場合は「なぜ非開示なのか」を考えましょう。
情報開示に積極的でないか、高すぎる数値のため出すことを控えているのか…いずれにせよ、要注意です。
就職四季報を活用する!注目すべき3つのポイント - 渋谷で働く人事のブログ
また、あわせてチェックしていただきたいのがオフィスの雰囲気。
将来性の乏しい会社、従業員を大切にしていない会社のオフィスは、どこか負のオーラが漂っています。
反対に、成長している企業、1人ひとりがやりがいを感じながら働いている組織では、オフィスの雰囲気も明るく感じられるもの。
面接やOB訪問などで会社を訪れるときは、社員が活き活きと働いているか、雰囲気に不自然な点はないか、チェックしてみてくださいね。
③育児休業期間
出産と同時に女性が退職し専業主婦となるのも今は昔。
現代では、育児休業を取得し子が一定の年齢になったら職場復帰がスタンダードですが、そこで気になるのが育児休業の期間。
ここが手厚い企業は女性の育成に積極的であり、長く働きやすい環境が整っていると推測できます。
国の定める最低期間は1年間ですが、中には育休を2年・3年取得できる企業もあります。
働きながら子育てをしたいワーママ・イクメンにとって、企業のバックアップが手厚いことは大きな魅力。
特に都市部では保育園を見つけるのもひと苦労ですので、余裕を持って育児に向き合えるというのはありがたいですよね。
また育休取得経験者と話をする機会があれば、復帰はスムーズか、まわりの雰囲気など、数字に表れない部分も聞いてみてください。
おわりに
これらの情報が「企業の全て」をあらわすわけではありませんが、判断する上で非常に重要な情報です。
また、こういった深い情報を持っていることは選考においても必ず有利に働きますし、企業への興味も示せます。
ぜひ取り組んでみてくださいね!