渋谷で働く人事のブログ

渋谷区の一部上場企業で、新卒採用を担当しています。年間1,000名以上の就活生と会う中で感じることや、日々の考えをシェアします。

面接で成功体験を聞く理由

こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。

採用面接で「学生時代に最も頑張ったこと(力を入れたこと、成功したこと)は何ですか?」という定番の質問があります。

成功体験を通じて学生の行動力や性格を確かめたいという意図の質問ですが、何と答えるのが適切なのでしょうか?


必要なのは「インパクト」ではない

たとえばここにAさんとBさんという二人の学生がいたとして、2人とも学生時代に「自転車で日本一周旅行をした」経験があるとしましょう。

Aさんは思いついたらすぐ行動。ノリだけで、日本一周をしてしまいました。

Bさんは旅行前に周到な準備をし、毎日のスケジュールを決め、宿泊するホテルをすべて予約し、その土地の美味しい食堂を携帯で写真撮影していたとしましょう。

面接において評価されるのはどちらだと思いますか?


この質問において面接官が見ているのは「その成功体験に再現性があるか」。

つまり「いつ、どこで、何度やっても、同じ手順で行えば同じ結果が得られるか」です。

Aさんの行動に再現性はありません(行動力、突破力はありますが)。

一方、Bさんの行動には再現性があります。Bさんに仕事を任せたら、周到な準備をして臨んでくれるでしょう。

このように、面接官は取り組みの結果よりも「どうやって達成したのか」に注意して話を聞いています。

失敗体験でも構わない

定番の質問ですので皆さん事前によく準備していますが、残念ながら方向性が間違っていると感じることも多々あります。

バックパッカーとして数ヶ国を放浪しました」「○○の大会で優勝しました」「ビジネスコンテストで表彰されました」といった成果には確かにインパクトはありますが、面接においては「結果のすごさ」が評価に直結するわけではありません。


私たち面接官は、就活生が語る成功方程式を通して、他の場面でも成功につなげることができるのか?を見ています。

従って、(どれだけ結果にインパクトがあったとしても)勢いだけでやってしまった成功体験には再現性がないため、あまり意味がありません。

逆にインパクトがなくても、「再現性のある成功方程式」があれば、評価の対象になりえます。

極論すれば、再現性さえあれば失敗体験でも構わないと思います。

どう備えるか

それでは「学生時代に頑張ったこと」を通じて、何をアピールすればよいのでしょうか。

面接官は主に下記のような切り口で質問を深堀りしますので、こういった視点で準備をしてみてください。

  • 契機(なぜそれをしようと思ったのか)
  • 目標(ゴールはなんだったのか)
  • 挑戦(まず何から始めたか)
  • 継続(どんな努力を継続したか)
  • 挫折(挫けそうになったことはあるか、どう乗り越えたか)
  • 協力(周囲から協力してもらった部分はあるか、どう働きかけたか)
  • 突破(目標達成のためにどんな差別化をしたか、どのポイントを強化したか)
  • 成功(どのように達成したか、その瞬間の気持ちはどうだったか)
  • 成長(その経験によって何を学んだか、どこが成長したか)
  • 再現(その経験を社会に出たらどう活かせるか)


逆に言うと、これらに明確な回答ができない場合、面接における価値は低いということになります。

努力そのものを否定する気は毛頭ありませんが、面接では別のトピックを取り上げることをオススメします。

まとめ

面接では緊張もあるので、うまく話せるとは限りません。

面接官はなるべく学生をリラックスさせ、魅力を引き出してあげようと努力をしています。

皆さんも、質問を額面どおりとらえるだけでなく「この質問を通じて何を知ろうとしているのか?」を考えてみてくださいね。