企業研究の四要素 ②収益性
こんにちは、渋谷で働く人事のブログです。
企業研究で必ずチェックしなくてはならないポイントは、大きく分けて4種類あります。
そこで今日は、前回に続き2つ目の要素である企業の「収益性」について考えてみましょう。
なぜ収益性が求められるか
先日お伝えしたとおり、企業の存在意義は収益ではなく世の中への貢献です。
しかし、そうは言っても利益なくして企業は存続できません。
存続できなくなってしまえば貢献を続けることもできないため、利益が至上目標ではないにせよ、ここから目をそらすことは不可能です。
また、社員の立場からしても自分の所属する組織の収益状況は重要です。
収益のあがっている企業、キャッシュリッチな企業であればやりたいことができる可能性は高く、逆に青息吐息であればチャレンジどころではありません。
新たな設備投資や、社員の教育にまわすお金もないような状況では、面白い仕事に出会えるチャンスも少なく、成長も見込めませんよね。
採用活動においては、兎角「やりがい」や「ビジョン」といった無形の要素に惹きつけられがちですが、上記のような理由から、必ず定量的な企業評価をする必要があります。
初心者が読むべき資料
企業の収益性を読み取るために最も有効なのは、1にも2にもIRレポートです。
上場企業であれば必ず発行している資料であり、書式・項目も統一されているため業界や規模が異なる会社どうしでも横並びの比較が可能になっています。
「有価証券報告書」「決算短針」「株主通信」など複数の種類があり、主にはBS/PL/CFといった収益・財務状況のサマリーが掲載されています。
また、売上・利益だけではなく中長期の経営計画であったり、現在および近い将来における課題と認識していることなど、内容は多岐に渡ります。
IR情報の中でも就活にとって有用なかつ客観的な情報という意味では有価証券報告書がオススメです。
上場企業が決算後3ヶ月以内に発表する投資家向けの報告書で、損益の情報や財務の状況、事業の状況、企業が想定しているリスクなどが詳細にまとめられています。
第3者による監査が行われており、様式も統一されているため、比較しやすいという利点があります。
まずは気になる企業からでもよいので、ぜひとも有価証券報告書を覗いてみてはいかがでしょうか。
最初は取っつきづらいかもしれませんが、一段階深い企業分析ができること、請け合いですよ。
まずはここを見てみよう
たくさん項目があるため、全て網羅しようとするとドツボにはまります。
慣れない方は、手始めに下記の2点に注目してみましょう。
①営業利益率
売上の大きさは企業規模やビジネスの内容によりますので、一概に売上が大きければ優良企業であるとは言い切れません(その可能性は高いですが)。
年商100億だけど利益は1億の企業と、年商は50億だけど利益が5億の企業では、どちらが効率的な経営をしているかは明らかですよね。
こうした分析に使うのが「利益率」という考え方です。
損益計算書(PL)には「利益」を示す項目だけでも「営業利益」「経常利益」など数種類あるのですが、「営業利益」は売上高からコスト(人件費や販売にかかる費用など)を引いた、本業での稼ぎのこと。
この数字が高ければ高いほど、その企業は本来のビジネスにおける稼ぐ力が高い、といえます。
②セグメント比率
その会社の売上や利益の内訳が書かれている箇所が、セグメント分析です。
セグメント分析からは、全体の売上に対する事業ごとの割合や、成長率を知ることができます。
その企業において、どの事業が最も売上に貢献しているのか、どの事業が最も成長しているのかは、きちんと抑えておきましょう。
もちろん、企業や状況によって「現時点で売上の大きな事業」と「今後の成長が見込める事業」のどちらを優先するかは異なります。
そこで、情報を収集するだけで満足せず、なぜ売上が大きいのか、成長しているのかを自分なりに整理しておいてください。
その会社のスタンスや強み、ひいては志望企業と他の企業との違いへの理解につながるはずです。
おわりに
もちろん、これらの情報は「企業の全て」ではありませんので、あくまで参考程度に留めておくべきですが、企業を判断する上で非常に重要な情報です。
また、こういった深い情報を持っていることは面接に際しても必ず有利に働きますし、企業への興味も示せます。
これまで収益性なんて気にしていなかったという方は、ぜひこれを機に新たな視点から企業を分析してみてください!